体験型、没入型と訳されることの多いイマーシブシアターは、2003年ロンドンで初上演された『スリープ・ノー・モア』を皮切りに、現在は世界の演劇の新しいジャンルとして確立されつつある。ここ数年、日本でも多くのカンパニーが上演しています。

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ひと口に『イマーシブシアター』と言ってもその形態は様々。言葉を用いずにダンスなどの身体表現だけで物語を進行させるものや、観客が会場内を自由に回遊できるもの、観客の投票によってエンディングが複数存在するもの、あるいは演劇というよりもゲーム性の強い謎解きなど、定義も手法も多様です。

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そんな中、ムケイチョウコクは、『日常に１ピースの想像を。』をコンセプトに、『観客自身の体験』の唯一無二性を最大限に引き出す手法を用いることで、画期的な演劇体験を実現している。

2022年に上演され、2023年に早くも再演が決まった『反転するエンドロール』は、「登場人物チケット」と「傍観者チケット」という二種類のチケットが用意されている。

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登場人物チケットの観客には、作品の中の登場人物として名前と設定が与えられる。キャストや他の観客たちが演じるキャラクターたちと会話する中で、その役に起こる一日を体験する。

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傍観者チケットの観客は、登場人物たちには見えない存在として、会場内の二つの別空間を自由に移動でき、自分の追いかけた足取りで見えてきた物語を体験する。

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いずれのチケットのどの観客であっても、自分と全く同じ体験をした観客は存在しない。

終演後、会場となるカフェ内では、飲み物を片手に熱く語り合う参加者たちの姿があった。まるで俳優たちの打ち上げの会場であるかのように。

参加者自身の唯一無二の体験と、想像がピースとなって出来上がるムケイチョウコクの作品。それは固定された完成品ではなく、“イマココ”で変化していくモノ。

　自分ではない何者かが見ている景色を経験すること、物語に没入することで、世界の美しさを再発見する、そんな時間をムケイチョウコクは提供する。

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